コロナ後遺症への鍼灸

世界を揺るがしたコロナウイルス。感染後ウイルスがなくなっても、多岐にわたる色々な症状で体調不良を訴える方が多く見られます。

当院でも今までにコロナ後遺症の方を治療する機会が結構ありました。

今までよくみかけたのが

  • セキが止まらない
  • 息切れしやすい
  • 背中が痛い
  • 体のだるさが続く
  • 微熱が引かない
  • 鼻水が止まらない
  • 味覚背中の低下が続いている
  • 頭痛がひかない
  • いつも身体が寒い
  • 耳の閉そく感
  • やる気が出ない・集中力が続かなくなった

などの症状を訴える傾向がありました。

それぞれの症状は各器官ごとというよりは、何種類もの症状を合わせて訴える方がほとんどです。

多くは肺のダメージから始まり、連動的にその他の臓器に負荷をかけ続けている状況であると当院は認識しています。

血流が悪くなり、自律神経の乱れが起こっている状態です。

そのような状態のお体に、当院の全身に行う優しい刺激の経絡治療とお灸は良い影響を与えると考えられます。鍼灸自体は血流を改善し、自律神経を整える働きが強いうえに、東洋医学的な身体へのアプローチは有効になりえると考えております。

実際、当院通院中の方がコロナに感染し、後遺症で困っており方々が何人も快方に向かっていきました。

コロナ罹患後、どのくらい時間がたっているかでも体の状態は人によって全く異なります。

東洋医学的に見たコロナ感染後の身体状況

  • 高熱と発汗で津液(体の水分)が損傷、虚脱する

体内の潤いがなくなり、身体の内臓、諸器官を潤すことができなくなる体のだるさ、倦怠感、食欲不振

水が減ることで、相対的に熱が生まれる微熱症状

熱は上りやすく冷えは下に沈む性質より、体の中に上昇気流のような逆上した気の流れが生まれるセキが続く

熱が上に登るので、セキと同時に口が乾きやすくなる。顔や頭も火照るので冷たい飲み物を好むようになる。するとお腹が冷えるので下半身に冷えがたまる→気が下に行かない、納まらない状態セキが続く

肺の気は金に属し、下に向かう性質がある。肺の気が感染によって傷み、降りることがなくなるセキが生まれる。

肺の気が弱まると、相克関係の肝の気が高ぶる。肝の臓は筋肉に影響する背中はハリが生じ、背部痛になる。夜中に足がつる。また、肝の気が強くなると感情に影響が及び、イライラ、怒り易い、抑うつ的な精神状態になる。

病はまだ浅いほうなので、回復は割合早い。(2~3週間ほど)

  • 病が体の奥に入り込んだ後の状態

東洋医学では津液は血から生まれる。また、気は血から生まれる。「血は血の師(指導する)、血は気の母」とすべてが関連しあう関係性が崩れ、五臓六腑全体が病み機能が全体的に低下する。2~3か月間以上不調が続く状態。

セキはもとより、嘔吐、下痢、悪寒などの症状が多岐にわたり発生し苦しむ。

腎の臓まで入ると、眠くていつも起きてられない。ぎっくり腰ではないが、慢性的な腰痛が生じる。また、小便が近くなり腰から下の力が入らなくなる。頭はいつもぼんやりとしている。眠いが睡眠は浅く、寝汗をかくような状態も伴う。

このように、病が奥に入ってしまうと、とてもつらく仕事や日常生活もままならない。回復に時間がかかる。(3か月ほど)

セキ止めの鍼灸治療

せき止めの特効穴は背中と胸、腕にあります。症状だけを取るときはそれだけでもいいのですが、実際は特効穴治療以外にも、根本的な身体の問題も含めて全身的にアプローチすることで早い回復を狙います。

上記で述べましたが

  • 背中の緊張が強いタイプには背中の緊張を取りながら、原因となっている肺や肝の臓へのアプローチをします。
  • お腹に息が収まらないタイプには、原因となっている腎の臓、お腹の冷えや気のうっ滞を除去し、上下のめぐりをよくしていきます。
  • イライラするなど感情的にこみあげてくるタイプには、肝の臓の気を静めると落ち着いていきます。
  • 気管に炎症が続いているタイプには、肺に残った熱を取り、全身の熱のバランスを整えます。

こういったことから、それぞれ鍼をする箇所も変わってきます。また、複合的な場合が多いので身体から来る声を聴きながら適宜鍼灸を行います。

最終的には、根本的に強くなった体が病を追い出します。

鍼灸をしたからコロナにならなくなるとか、コロナ感染したばかりの人を治癒できるかということはありません。その点だけはご注意ください。

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